通信データ vol.37

通信データのvol.32にて、「エビカぁニⅡ世の宇宙への旅系なるぞⅠ」に掲載されているヒーペロ星とボボンガ星の間にある巨大なブラックホールの図について示した。ただし、「エビカぁニⅡ世の宇宙への旅系なるぞⅠ」には、そのブラックホールに関して具体的な名称は示されてはいなく、暗黒の惑星とだけ記されていた。しかし、後に我が父に相当するエビカぁニⅡ世が試験的に宇宙へ飛行した際の書物である「エビカぁニⅡ世の宇宙への旅系なるぞⅢ」では、その暗黒の惑星のことを、あえてブラックホールと名づけている。偶然にも銀河群天の川銀河オリオンアーム太陽系地球の名称と同じである。それ自体、とても不思議なことではあるが、そのことから、今では我らがヒーペロ人もヒーペロ星とボボンガ星の間にあるこの暗黒の惑星をブラックホールと呼んでいる。

我らがヒーペロ星では、我が父に相当するエビカぁニⅡ世の功績によって、今や星間自動操縦が可能となった。しかし、通信データのvol.30でも示したように、ボボンガ星への探索には、その巨大なブラックホールの存在から、一般的な星間航空法よりも、さらに特殊的な技術が必要とされ、それをどのように攻略したのかは、「エビカぁニⅡ世の宇宙への旅系なるぞⅠ・Ⅱ・Ⅲ」のいずれにも特に記されていない。我が父に相当するエビカぁニⅡ世が残した膨大なメモ帳の中には記されているかもしれないが、表向きには亡くなった我が父に相当するエビカぁニⅡ世だけが知っている技術とされる。そのため、ヒーペロ星とボボンガ星の間にある巨大なブラックホールとは、具体的に宇宙航行においてどのようなものかは、さっぱり検討がつかない。そこでブラックホールについてDr.ダレナンに伺うと、

「我らが地球では、シミュレーションによって、そのブラックホールの様子を観察することができるまでに科学技術が発達した。そこで、Dr.アンドリュー・ハミルトンによるそのデータを送信したい。」

との返事を頂けた。ただし、シミュレーションの意味が分からなかったため、これについても伺うと、

「実際にはブラックホールまで航行していない。しかし、それを数値的に解析したものである。」

とのことであった。我らがヒーペロ星では星間自動操縦は可能であるが、そのようなシミュレーション技術がなかったため、どのような様子かとても楽しみである。Dr.ダレナンとDr.アンドリュー・ハミルトンに感謝したい。

しばらくすると、そのデータが受信された。それが下(*)である。

我が父に相当するエビカぁニⅡ世が、宇宙航行においてこのような経験をしたのかと思うと、実にわくわくした。エビカぁニ家に生まれた三代目の国王として、いずれボボンガ星へも旅立ちたい、これでそう決心した次第である。

* : https://vimeo.com/8748890より引用

エビカぁニⅢ世、ここに記す→