通信データ vol.111

その時、会場の後ろの方の一角から挙手があった。

「リヒト・マーガレぁⅢ世殿。少々、発言してもよろしいでしょうか?」

リヒト・マーガレぁⅢ世:「どうぞ。発言を許可したいと思います。」

後ろを振り返ってみると、生態学者として我がエビカぁニⅢ世もなんとなく見覚えのなる著明な人らしき方が立っていた。

「今回の、ハドゴンG星への旅に関して、タコンイぃカⅢ世殿については賛同します。貴殿は、国際宇宙通信工学に関して、謎の信号の解析に対する特異な学識を有していることは存じております。しかしながら、エビカぁニⅢ世殿はどうでしょうか。エビカぁニⅢ世殿はヒーペロ星の生態学者としてはそれなりの業績も当方は認めることはできます。しかしながら、宇宙全般にわたる生態学を収めるには、あまりにも見識が少ないように感じます。拙者カフェルン・いぃシュⅤ世は、国際宇宙生態学としてもそれなりの貢献は出来ていると自負しております。そこで、なぜ、今回、ハドゴンG星の生態学者として、エビカぁニⅢ世殿を推薦するのかについて、その理由を詳しくお聞かせ願いたい。」

名前を聞いて、そういえば、思い出した。この人は、このエルビぃ48星から45億kmも離れたマリーム星の生態学者で、マリーム星だけではなく、はペロン星、シュゲッツ・ラリホー星など様々な惑星における生物圏の生態を解明した学者としても有名な人だった。

(やっべーなぁ~。高等技術学校時代からリヒト・マーガレぁⅢ世殿にはあこがれてはいたものの、別に今回の特別の学会に招かれた訳でもない我がエビカぁニⅢ世が、なんで、よりによって、なんで、ハドゴンG星の探索に参加なんだよ~。やっぱ、カフェルン・いぃシュⅤ世の方が適任じゃないのかぇ~)

リヒト・マーガレぁⅢ世:「それでは、理由を説明したいと思います。一学者としては妙な意見かもしれませんが、今回のハドゴンG星への旅はかなりリスクが高いと感じております。今では明らかな生命体はいないと確信されてはいるハドゴンG星ですが、今回のぁシュバオロス菌からの同期現象が示すように、ハドゴンG星の”ぴラミクの穴”には何らかの生命体がいる可能性が非常に高いと思います。今から数えますと、ざっと30年前にハドゴンG星のへ生命体の探索に関して、ようやく生命体がいないと確信されたのはすでに周知のことではありますが、それ以前に何度も探索隊が行ったにも関わらず、その探索隊は今もって行方不明です。その原因も明らかにされていません。

そこで、です。

他の惑星の生態に見識が深い方によって、ハドゴンG星の今回の旅の見識を予備知識から固めるよりも、まっさらな知識をもつ、エビカぁニⅢ世殿の方が適任と感じた次第であります。それは、単純に一学者としての勘です。」

(なるほど…….、えっ、なるほど?)

これは、リヒト・マーガレぁⅢ世殿に、我がエビカぁニⅢ世がほめられている…のか…なぁ…

エビカぁニⅢ世、ここに記す→